目的
人へのサービスを考える時,その場に人が居るかどうか,を判別することは非常に重要になります.現在でも,焦電センサや,赤外線センサや感圧センサ,カメラなど様々なセンサが「人を検出する」ということを目的として使用されてきましたが,いずれもその動作に電源を必要とするものでした.これに対し,我々の研究室では,環境内に存在する電磁ノイズを利用し,無電源で人を検出することができるセンサを提案し,やはり,無電源でそのセンサを駆動させるためのシステムの開発を行なっています.
この技術が完成すれば,例えば「人がその場に立ったことを通知する床(タイル)」や「人が座ったことを通知する椅子」を,電源を気にせず,全くのメンテナンスフリーで実現することが期待できます.
内容
環境内にアンテナを設置すると,そのアンテナは環境内のノイズを含めて電磁波を受信します.一方で,人体は誘電体であり,アンテナの役割をするため,アンテナに人が近づくことによってアンテナの感度が見かけ上良くなります.すなわち,環境内にただアンテナを設置した場合と,そのアンテナに人が近づいた場合で感度が代わり,その出力に差が生まれます.この出力を整流・昇圧することで,アンテナ周囲に人がいた場合の出力と人が居ない場合の出力で差が生じ,その差によって人の有無を検出することができます.整流昇圧には無電源で動作するコッククロフトウォルトン回路を用いることで,無電源で人を検出することが可能になります.
また,この原理は電磁波を用いたエネルギーハーベスティング技術にも用いられる技術です.逆に言えば,同様の機構を用いて電力を取り出すことが可能であり,このことを利用して,無電源で人を検出し,そのことを無線を用いて外部へ通知するシステムを構築しています.まだ,安定性や環境依存性などに課題があり,この克服をするために研究を行なっています.
キーワード
センサハードウェア,電磁ノイズ利用,電気回路,人感センサ