目的
建築物や乗り物などにおいて,様々な部材の締結にボルトが用いられていますが,老朽化によるボルトの緩みや破断,抜けによって事故が起きています.ボルトの締結力を遠隔から監視することによって,このような事故を未然に防ぐシステムの開発を行なっています.
内容
ボルトの締結力を測定する従来手法として,ボルトに穴を穿ってセンサを仕込む方法や,ボルトヘッドを鏡面仕上げして超音波を用いて測定する手法などがあります.しかし,これらの方法はボルトに加工を行なうため,ボルトの劣化を招いたり,加工の手間により現場で用いることは非常に困難な場合が多くありました.また,ボルトの下にワッシャー型の感圧(歪み)センサを用いる手法もありましたが,そのデータを外部からモニタリングするには有線で接続するか,無線モジュールを追加する必要がありました.これに対し,ボルトの下にワッシャー型センサを挿入する,というアプローチは似ているものの,ワッシャー内にセンサだけでなく,電源,センサ,マイコン,無線モジュールの全てを内包したシステムTenSenseを開発しています.
TenSenseは既存のボルトとワッシャーの下に挿入するだけで,遠隔からのボルト締結力を監視することができ,非常に簡便に使用することができます.現在は,大型のボルト(M30程度)を主な対象としていますが,中型のボルト(M20程度)にも対応するよう小型化を進めています.
キーワード
IoT,構造物ヘルスモニタリング,締結力センシング,LoRa