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目的

最近は商品化されたもの・研究中のものを含め,数多くのウェアラブルデバイスが世の中に普及してきました.これらのデバイスにより,情報の通知や健康維持など,非常に便利な機能が考えられています.しかし,一方で,これらの恩恵を享受しようとすると,身に付けるウェアラブルデバイスの数が多くなることも容易に考えられ,今度は各ウェアラブルデバイスの「充電の手間」が問題になります.特に,ウェアラブルデバイス同士で連携するようなアプリケーションでは,たった一つのデバイスの充電を忘れたために全体が動作しなくなる,といった問題が生じることも容易に予想されます.

我々はこの問題に対し,衣類上で電源を一元化することを考えています.具体的には,比較的大型のバッテリを重さの感じにくい腰などの部位に装着し,この電力を各ウェアラブルデバイスに送ります.このようにすることで,電源管理は一元化されたバッテリについて行なえばよく,大幅にその手間を削減することが期待できます.しかし,ウェアラブルデバイスに対して電力を分配するにあたって,シャツとズボンや,裾と手首のように必ずしも有線で繋ぐことができる所ばかりでなく,無線で電力を送る必要が生じます.このため,衣類上での効率的な無線電力伝送に関する研究をおこなっています.

内容

無線電力伝送方式にも様々ありますが,我々の研究ではズレに比較的強いとされる磁界共鳴方式に注目しています.衣類上では,例えば,シャツとズボンにそれぞれ層受電コイルを作成した場合,体の動きによってズレが生じるためです.また,衣類ではズレだけでなく,曲げやシワが生じます.無線電力伝送の既存研究において,ズレについては多くの既存研究がありますが,曲げやシワについて扱ったものはまだ多くはありません.さらに,通常の無線電力伝送では送信側と受信側はペアで設計されるのに対し,衣類の場合,送電側のコイルとと受電側のコイルが別々に設計されると考えられます.そして,人体に対して危険であったり,着心地を悪くするものであってはなりません.

これらについて,まずはシミュレーションによって適切なコイル形状やその安全性などを明らかにし,その後,実際にいくつかのパターンの衣類を作成して効率的な衣類上での無線電力伝送方法を実現しようとしています.

キーワード

ウェアラブルデバイス,無線電力伝送,電源管理